ナミダのクッキングNo.2604 | 鞠子のブログ『ナミダのクッキング』

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今日、ちょっぴり悲しかったこと…

『鏑木清方特別展』に行ってきた。
鏑木清方は、明治11年生まれの画家。美人画が有名…だそうだが、文学講座で作品のコピーを見せてもらうまで、名前すら知らなかった。
この時見たのは、谷崎潤一郎『少年』の挿し絵。なんとも妖しくてそそられる絵(←俗な言い方ですみません)。谷崎作品の魅力を何倍も盛り上げていた。

そして今日はナマ絵。
全くすばらしかった。

清方自身は、「女性は襟足」と言っているが、私は「口元」に惹かれた。
口元が異様に小さい。ところがどの絵も、その口元からふっと吐き出される甘ったるい息が見えるようなのだ。
薄く開いている口元からも、閉じた口元からも。

それから、色の使い方。
鮮明でいてかつ控え目。主張しないが主張している。その矛盾に、観る者・私、胸がざわっとする。
特に紫色。淡くていかにも品のある紫。漱石の『文鳥』に出てくる「(美しい女の)紫の帯上でいたずらをした」、この紫は、清方の描いた紫色のような色だったのではないか、と思わず見とれてしまった。

さて、絵を観たときのお約束。
「ひとつ、もらえるとしたらどの作品?」

私は『秋の夜』

秋の夜長、女が本を読んでいる。
その横に、いつの間に入り込んだのか、虫が…
首を傾け、その虫をじっと見つめる女のあごのラインが何と美しいことか…

来週以降、作品が入れ替わるので、また観に行くつもり。