『社員食堂で食育』なる記事を読んだ。
具体例として2つの会社が紹介されているのだが、気になったのはヤフーの取り組み。脂質を取り過ぎている人が多いことから、「揚げ物税を加算する」として、揚げ物料理を100円値上げする一方、「お魚還元」と称して、魚料理は150円値下げし、より魚を食べてもらおうという取り組みなのだ。結果、揚げ物料理の販売数は以前の3分の1に減少、魚料理は3倍以上増した、という。

なによりこの「揚げ物税」「お魚還元」というネーミングが面白い。
こんな言葉を考えつくなんて、さすがヤフーだわ。

社員が健康であることは、会社が健康であることの必須条件だと思うし、こういう取り組みが会社のイメージアップにつながり、ひいては人材確保につながることも十分理解できる。
だが、なんか釈然としない。

その理由1。そんなに揚げ物を悪者にしていいのかしらん、ということ。本来「肉も野菜も魚も」であり「ナマも揚げ物も煮物も焼き物も」ではないだろうか。
そこまで揚げ物を悪者にするなら、社員食堂のメニューを「揚げ物排除・毎日魚メニュー」とすればいい。(←お肉関係の業者・揚げ物関係の業者からクレームがつきそうだが)

それから理由2。こちらの方が、私的には理由1より問題だと思うのだが。
「脂質を取り過ぎている人が多い」というデータはどこから出したのか。
これ、会社側が食器の裏に栄養情報が入ったICチップを埋め込み、社員証を使った決済時に摂取した栄養素を社員証に読みこませることで蓄積したデータなのだ。
つまり、「社員№105鞠子:10/1から揚げ 10/2トンカツ 10/3天ぷら 10/4コロッケ…」みたく、社員食堂での食生活が丸裸にされているということだ。

正直、これ、私はイヤ。
こういうデータなら、食事内容だけでなく、毎日「300円のものしか食べてない」とか「10日前後は食欲が落ちる」とか「○○さんと一緒のときは、必ず高価なものを食べている」etc.いかようにも分析できるではないか。

しつこいようだが、社員が健康であることは、会社が健康であることの必須条件だ。社員の健康を守るために、企業が知恵を出し、経費を使い、取り組みを進めるのは大事なことだ。だけど本来、「自分の管理は自分で考え、自分できる社員」を育てることをめざすべきではないだろうか。

今や、「食事」という概念すら持ち合わせていない人が多いから、ここまで管理しなきゃだめなのかもしれないけど。
でも私がヤフーの社員だったらこう思う。
 
「ほっといてくれ」
 
(ただし、かなりベジタリアン寄りの私にとっては、揚げ物税もお魚還元もなんら影響を及ぼないので、単なるヒガミと取られてもどうしようもないが)