リチウムイオン電池を開発した名城大の吉野彰教授がノーベル化学賞を受賞した。

吉野先生が会見で話された中に、ノーベル賞などという偉業とは全く無縁の私にとっても、「生き方」という点において示唆に富むこと、共感できることがいくつかあった。
 
〈新しいアイデアは「ほわーっと思いつく」〉
これってすごく大事なことだと思う。
ただ単にぼけっとしてるわけじゃない。常日頃、いろんなことを考え抜いているからこそ、リラックスしたときに「ほわーっと思いつく」のだと思う。
皮肉なことに、ITの発達とともに「いろんなことを考え抜く」ことも、「ほわーっと思いつけるだけのリラックス&空き時間」もなくなってしまった。
 
〈研究者は柔軟性と、真逆の執着心が必要〉
わかる。研究者でなくても、これはすっごく大事なことだと思う。
仕事でも趣味でもそう。
ちょっとでも上を目指す執着心がなければ、うまくいかない。だけど、それ一筋だと折れてしまう可能性が高い。
「難しいのは剛と柔のバランスをどう取るか」「大きな壁にぶち当たった時も、まあ、なんとかなると思える柔らかさが絶対いる」― 吉野教授のおっしゃる通り。本当にその通りだと思う。
 
〈小学4年のとき、担任の女性教師が勧めてくれた本『ロウソクの化学』〉
この本が化学に興味を持つきっかけになったとのこと。
おそらく先生も、特別な意図を持って勧めたわけではないと思う。このとき先生が『ドリトル先生』を進めていたら、動物に興味を持ったかもしれないし、訳者の井伏鱒二に興味を持ったかもしれない。
子どもの頃って、大人が考えられないようなことにも心がピピピッと反応するのだと思う。
無限の感性がある。
だから、いろんな機会を与えてあげる、というのがとても大事なんじゃないかと(←子育てしていない私が言っても全く説得力ナシだが)。
 
〈化学・水泳・考古学〉
といっても、吉野教授は決して化学一辺倒ではなかった。水泳にも考古学にも熱中した。
「専門分野だけでなく、いろんな見方をできる方がいい」― これも教授のおっしゃる通り。私もできるだけ、そうありたいと常に思っている。
 

ノーベル賞受賞そのものより、ここに至るまでの吉野教授の研究観に「いいね!」を連発してしまった。
なんだかうれしいわあ。