先週末、ミュンヘンバッハ管弦楽団の演奏会に行った際、会場に世俗カンタータのCDがあったので購入した。

カンタータが大好きなんだけど、聴くのはもっぱら教会カンタータばかり。
世俗カンタータはレオンハルト指揮による5枚組CDしか持っていない。
好みとしては、私は絶対に「世俗」より「教会」。声楽レッスンのときに持っていく曲も、「教会系」ばかり。
だが…
購入したCDを聴いているなかで、ものすごく気になるアルトのアリアを見つけて(聴きつけて)しまった。
こうなると、もともと「中毒」なので、何回も何回もリピート聴き。
手持ちのレオンハルトCDの中にも同じカンタータがあったので、比べ聴き。
「教会系」と違い、どちらのCDも「しゃべるように歌っている」。
…いやあ、こういうのも歌ってみたい(←実力は度外視)。きっと勉強になるに違いない。
 
…ということで、内容を調べたのだが、思わず吹いてしまった。
 
舞台は、太陽神・フォィブスと牧神・パンの「歌のうまさの競い合い」なのである。
疑心暗鬼の神・モムスが「歌合戦しろ」とけしかける。
そこでパンは「素朴で愉快な歌」を披露。ほめたたえるミダス王。対するフォイブスは「いかにも高貴な歌」を歌い、山の神・トモルスがこれを大絶賛。
さらに商業の神:メルクリウスもフォイブスを絶賛。
そこでこのフォイブス、ミダス王に対し「ええい、ロバの耳になってしまえ!」といい、本当にロバの耳にしてしまうのである。
 
さて、私が心ひかれたアリアは、というと、メルクリウスが歌う『Aufgeblasne Hitze ,aber wenig Grütze』。この意味は…
 
「やる気は満々だが、脳味噌が足りなきゃ」
 
え? 単にフォイブスの歌をほめるのではなく、こんな皮肉なことを言って(歌っている)のか。
…でもめっちゃ笑える。やる気は満々だが、脳味噌が足りなきゃ、なんて。
 
このカンタータ第201番『フォイブスとパンの争い』。
確かにストーリー通りの曲がつけられている。パンとフォイブスが歌う曲は、まさしく愉快VS高貴な曲調。言われてみればメルクリウスのアリアも、嘲笑しているようにとれなくはない。
でも好き。絶対、面白い。
 
バッハの新たな魅力、発見(^-^)v
 
ところで、「ミダス」「ロバの耳」って、そういえば『王様の耳はロバの耳』、あの王様のことだよねえ。
そうだったんだ。
なんだかかわいそうなミダス王。この曲聴いてから読んだら、きっと面白さ、倍増する。