さあ、月イチ声楽レッスン。
諸事情により、先回から半月しか経っていない日が当たってしまった。
それでも、それなりに頑張ったわたくし。『コンコーネ』は№10~20まで、今日も11曲続けて歌った。(←このくらい歌わないと、実は声が出てこないのだが)
 
そして懸念のイタリア歌曲。
先生から勧められた問題の『Piacer d'amor―愛の歓びは』。
これがなかなか意味深な歌詞なのである。
 
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〈Piacer d'amor〉
 
Piacer d'amor più che un dì sol non dura;
martir d'amor tutta la vita dura.

Tutto scordai per lei, per Silvia infida;
ella or mi scorda e ad altro amor s'affida.

“Finché tranquillo scorrerà il ruscel
là verso il mar che cinge la pianura

io t'amerò.” mi disse l'infedele.
Scorre il rio ancor ma cangiò inlei l'amor.


〈愛の歓びは〉

愛の歓びは一日しか続かないのに、
愛の苦しみは一生涯続く。

私はあの不実なシルヴィアのためにすべてを忘れたのに、彼女は今私を忘れ、ほかの愛に身を委ねている。

「平野を取り巻く海に向かって小川が静かに流れているうちは、私はあなたを愛しています」と不実な女は言った。
小川は今も流れているが、彼女の愛は変わってしまった。

                 曲:Jean-Paul-Gilles Martini
                 詞:Jean-Pierre Claris de Florian
 
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シルヴィア、ひどいな。速攻、次の恋人なんて、なかなかやるな。
さてこの「Silvia」の部分、何度も練習したがどうしても「小学生が必死に頑張って歌っています!」みたいになってしまい、イヤで仕方がない。
その上、歌詞と相反し、メロディはものすごく甘くてロマンチックなのである。

つまり、「大・大・大のニガ手」(--;)(--;)(--;)

全体を通して、「ただ歌っているだけ」な感じがどうにも払拭できない。
だからこそ、先生はこれを指定されたに違いない。
 
・・・等々、苦手感満載で、「イタリア歌曲はこの前お勧めいただいた〈Piacer d'amor〉を…」と言い、譜面台に楽譜を開いたら、先生、いきなり怪訝な顔をしてこうおっしゃった。
 
「え?… Piacer d'amor? 何? どれ? え? 勧めた? 僕が? いや、これじゃないよ」
 
はっ! 何ですとっ!(@ ̄□ ̄@;)!! 
これじゃない? 
嘘だ。絶対先生、これって言ったもん!
― 一気に血の気、引く。
 
で、レッスンが終わり聴衆に変わっていた皆さんも巻き込んであれこれ楽譜をめくった結果、曲は〈Piacer d'amor〉でよかったのだが、違うバージョンの方を想定してらしたことがわかった。
結局、先生は私の楽譜を使って伴奏、私は先生が勧めたつもりの別バージョンの楽譜を見ながら歌ったのだが、前奏も間奏も違うし、メロディラインも微妙に違うし、で、全くもってへんちくりんな〈Piacer d'amor〉になってしまった。

それでも「なかなかいいじゃないか、こういう感じの曲も」とちょっぴりほめてくださったので、即、気を取り直した単純なわたくし。
次回までに別バージョンで練習し直してきますっ!
…でも先生、先回のレッスンの時、私の楽譜をめくって、確かに「これ」と言われましたよ。間違いありません。
 
それにしても「愛の歓びは一日しか続かないのに、愛の苦しみは一生涯続く」、なんてねえ。
言い得て妙。
それなのに、「恋愛は人生の秘鑰なり、恋愛ありて後人生あり、恋愛を描き去りたらむには人生何の色味かあらむ」もまた真理であって。

ああ、どう生きても、人生、切ないばかり。