連休末、髪をざっくり切った。
・・・とはいえ、毎日会っている人はあんまり違和感ない、と思う。
たまに会った人は、きっとびっくりする。
なにしろ20代から超ロングで通してきたのだ。大学の大教室など、遅刻した友は後ろから入室し、私の髪を目当てに探したというくらい。
泳いだあとウザかろうと、シャンプーが早く減って不経済であろうと、ずっと髪を伸ばしていた。

母が10年間、患い、最後の方、認知症状が出ても、彼女の私の髪への執着はすごかった。仕事帰り、施設に寄ると、自分はベッドで横になりながら、私の髪に触りたがった。
自分自身、若いころ、貧乏すぎて髪などほったらかしだったことが悔しくて、「娘は絶対長い髪・髪のケアにはお金を惜しまない」と決めていたらしい。
なので、母が生きている間は、どうにも髪を切ることができなかった。

しかし、母が亡くなり、以来、徐々に切るようになり、「失恋でもしたのか!」と決して言われたりしない程度に少しずつ短くしていった。でとうとう連休末、今までに経験がないほどの短さに。

切った理由その1.
知人にストレートロング(腰のあたりまである)のグレイヘアさんがいるのだが、その人を見るたび、どうも『羅生門』の老婆を想像してしまうのだ。今のままだと私もこうなるのではないか。ちょっとこれはNG。いつまでも伸ばしている場合ではないな、そう思うようになった。

そして切った理由その2。本当はこちらが主たる理由なのだが。
なんとなく、不安になってきたのである。
年とともに髪が痛み、白髪が増え、ボリュームがなくなる…そんな穏やかな不安ではなく、いわゆる「抗がん剤治療」みたいなものを、一生の間、ずっと避けて通るなんて不可能な気がし出したのである。別に、今、どこか気になる症状があるとか、健康診断で何か指摘されたとか、そんなことは全然ないのだが、いずれはそんなときがくる。そのとき、ばっさり切る、というのは余りにショックが大きいのではないか、と思い始めたのだ。

取り越し苦労?
かもしれんし。それならラッキィだし。
で、切った髪型が似合うか、と言えば…

まあ想像にお任せする。
ただ、確かに軽くなったものの、逆に毛先が顔に触り、手放しで「楽チンになった」とは言えません。