そういえば、オレンジのパーカーを着た男性のことを思い出した。
私の出勤時に必ず見かけるおじさん。
その人は、国道をこちらに向かって歩いてくる。派手なオレンジのパーカーを羽織り、のぼり旗と拡声器を持って、毎日毎日。
だから、子供の登校を見守る交通安全のボランティアさんだと思っていた。
なんて奇特な人だろうか、と。
…だが、市議選のポスターにお顔が載っているのを見て、なぁんだ、そういうことだったのね…と納得した。
さて選挙翌日の朝刊、私はイノイチにその人の当落を確かめた。
残念ながら、落選だった。
それも、400票そこそこしか入っておらず、当選した人とは桁が違っていた。
いままで毎朝、一体どこで演説していたのだろう。
おそらく、誰も聞いていない路上で。
なぜそんなに頑張れる?
頑張りが持続できる?
当選しないことは、事前にわかっていただろうに。
この人が仮に当選したとしたら、政治家としてどれほどの力が発揮できたかはわからないが、とりあえず事前の活動は脱帽モノ。
こういう人、このあとどうなるのだろう。
そこそこのお年で無職?
いや、選挙以前から既に無収入だったのか?
家族も本当に大変だ。
え?もともと資産家だった?
ならば話は別だけど。