数日前、社会保険労務士Oなる知らない人から、上司名指しで電話があった。金融機関の誰それから紹介を受けたのだそうだ。
電話の用件はいわゆる「営業」。「健康経営」とか「働き方改革」とか、うちのつてをお借りして講演させてもらいたい、というような。

とりあえず、その手の講演の出番はない。特に見ず知らずの講師はあり得ない。
電話でぶっきらぼうに拒否る上司。しかし敵はなかなか降参しない模様。「一度会って、話だけでも」とおっしゃるらしく、紹介者の手前もあり、上司はしぶしぶ面会を約束した。

…「健康経営」に「働き方改革」、か。
そういえば、私も昨年、社会保険事務所主催の勉強会に行ったんだった。どちらも「資料の朗読」を聞いているだけだったな。そのせい、といったらずるくはあるが、内容は、ほとんど覚えていない。

というところで本日、このO氏が来所。
小柄で物腰の柔らかい初老の男性だった。
応接室で上司と歓談。結局、うちは何の役にも立たないことをお悟りになったかどうだかわからぬが、しばし後、挨拶をして帰っていった。
やっぱりムダ足だったわね、御苦労さま…と多少、憐れみをこめて上司がもらったO氏の名刺を見たら…

えぇぇぇ――(@ ̄□ ̄@;)!!
この人、私が参加した勉強会の講師じゃないの!
間違いない。下のお名前がなかなか特殊な漢字であり、特殊な読み方なんだもん。

ものすごくショックだった。
顔を見ても、「勉強会の講師だった」ことに全く気づかないばかりか、「どこかで会ったことがあるのでは?」すら、ちらとも思わなかったことが。
勉強会は、3時間の長時間だった。その間、講師をガン見していたはず。それなのに…

ああ、いやだ。また己の「老い」を眼前に突き付けられた。