今日は名フィル定演の日。
シェーンベルク『交響詩・ペレアスとメリザンド』を聴いた。

前からずっと気になっていたシェーンベルク作品。
かつて美術館で観たカンデンスキーの『印象Ⅲ』があまりに強烈で、それがシェーンベルクの『3つのピアノ小品』を聴いたときの衝撃を絵にしたと知り、いたく感動した。
このような絵を生み出す原動力となったシェーンベルクの作品とは如何に???

…で、結果は…

「深淵」

ああ、なんて抽象的な。
だが、「深淵」という言葉が私のなかでは一番ぴったりきた。

この作品は、メーテルランクの戯曲『ペレアスとメリザンド』がもとになっている。
王太子ゴローと妻メリザンド。
しかしメリザンドは、義弟ペレアスと関係を持ってしまう。
そしてゴローはペレアスを刺し殺す。
メリザンドは子どもを生んだあとで死んでしまう。
ゴローも精神を病み、狂っていく。
つまり、「全員不幸」。
それをシェーンベルクはうねるような作品につくりあげた。

しばし光が見えたかと思うと、すぐ暗闇に堕ちる。
つかの間、救われたのに、すぐ苦しみにさいなまれる。
それが大波や小波となって、次々に襲ってくる。

そしてふと気づけば私は深淵に引きずり込まれている。

…こんな感じ。

こういう聴後感、初体験だったかもしれない。
感動した。