客様K社長が書いたメモが回ってきた。
一昨年、採用した社員が退職するにあたってのいざこざが書かれている。

ネットに会社の悪口を流した。
やる気が感じられない。
他人に厳しく自分に甘い。
会社に対して要求ばかりする。
実は、退職を止めて欲しがってる。
彼女の先輩が、困り果てている。
…等々、気になる内容が記されている。


だが、私が一番驚いたこと。
「彼女とメールでこういうやり取りをするのにほとほと疲れた。もう無理だ」

…え?…

こんな深刻で大事な問題を、メールでやり取りしてたのか?
たかだか数名その会社で?

それこそ、大間違いなのではないか。
辞める方にとっても辞められる方にとっても一大事なのに、面と向かって話をしないなんて。

K社長が間違ってる!

…そう思ったが、すぐ考え直した。

彼女もK社長も、対面では話せないのだ。
大事な問題だからこそ、話すことができない。
この人たちにとっては、「話すこと」より「書くこと」の方が簡単であり、より思いが伝わる手段なのだ。

…驚きの質が変わった。





哀しみの中身を文字にしてみなと
鞠子