会いたくない人とニアミス。
立て続けに二人も。
それも、まったく妙なところで。

一人目。親戚Tさん。母の納骨堂で。

私はおまいりに行ったのだが、Tさんは、仕事がらみでたまたま来ていたらしい。
見かけたとき、マズイ、と思った。
私がなぜここに来たか、理由を話したくないからだ。

この納骨堂に母のお骨がある理由、非常に説明しにくい。
説明したらしたで、気を悪くすることは目に見えている。

目を合わさぬよう、気づかぬふりして納骨堂を出た。
Tさんは私に気づいたかどうかはわからない。

そして二人目。スイミングで会う女性。お手洗いを借りるのが主目的で立ち寄った『しまむら』で。

スイミングに行くたびに会う人なのだが、
何となくあいさつをする機会を逸してしまい、そのままずるずる来てしまった。
あえて言えば、ぱっと見、ムシが好かないタイプではあるが。
いや、相手にしてみたら、何か頭に来ることがあり、意識的に無視している可能性もある。

以来、更衣室で隣り合わせても、ジャグジーで一緒になっても、時候のあいさつひとつせず、お互い無言。
これはかなり気詰まりなものだ。

『しまむら』で、彼女は熱心に靴を見ていた。
私は本当にお手洗いだけ借り、そのまま出てきてしまった。
この人も、私に気づいたかどうかはわからない。

…でも、後でものすごく後悔した。
今日なんか、チャンスだったのだ。
「あら、妙なところでお会いしましたね。いい靴、ありました?」
とかなんとか言って。

いくらムシが好かなくとも、顔を合わせて無言、は不自然だ。
あまりにも大人げない。
いい年をして。

それにしても、会うことの方が難しいのに出先で偶然出くわすなんて。
ある意味、「奇跡」。





出会うならドラマのように好漢と
鞠子