バスの中で、「全身キティ」の女性を見た。
怖いもの見たさに、ついつい観察してしまった。

最前列に座っている。
長い髪が邪魔して顔は見えないのだが、雰囲気は、どう見ても40~50代。
結構、骨ばった体つき。

そして、
以下のよう、なにしろキティオンパレード。

足元に置いた複数のカバンは全てキティ。
それについているたくさんの大きなキーホルダーや缶バッチもキティ。
両手首にはめた時計もキティ。
サンダルもキティ。
洋服にもキティがそこかしこにプリントされていた。
そして、
大きなキティのぬいぐるみを抱いてみたり、手すりに乗せてみたりして愛でている。

小説の中なんて、信じられないような人がヤマほど出てくるので、少々のことには驚かないが、それにしても…

偏愛。
だが、キティをいくら偏愛しても、人に迷惑かけるわけでなし。
サンリオからは、お歳暮が届くかもしれぬ。

…などとムリムリ納得しつつ、降車する際、思いきって正面から顔を見た。

なんとそれは……
いかつい顔をしたおじさんだった……

2017年。
ラストは衝撃の真実で飾られた。






明けようと明けまいとまた年重ね
鞠子