【『表現』に関する3題】
 
○ショウガイシャ
 
職場で雑談しているとき、「障害者」の表記が話題になった。
 
「『害』じゃないんだから、『障がい者』と表記すべきだ」
一方で、
「わざわざ『害』を『がい』と書き換えることの方が差別」
あるいは
「表記がどうのこうのという前に、やるべきことがあるだろう」
という意見もあるのだとか。
 
『障』だって、「さまたげる・じゃまをする」という意味なので、この字も問題だ、という考え方もできる。
となると「ショウガイシャ」という言葉そのものが問題だ、ということではないか。
 
 
○モウラテキ・ソウバナテキ
 
昨日、仕事上の会議で、客様M氏が私の書いた文を読み上げる、という場面があった。
私は「網羅的」「総花的」という言葉を使っていたのだが、M氏はこの読み方がわからず言葉に詰まった。
 
私はひどく後悔して、嫌な気分になった。
 
M氏をバカにしているわけではない。
もっとわかりやすい表現がいくらでもあるのに、普段、あんまり使わない言葉を安直に使った自分の配慮のなさに嫌気がさしたのだ。
 
 
○シュベツ
 
日本年金機構から「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」が送られてきて、しげしげ見た。
 
「種別」という欄がある。
これは何か?
「第一種:男性」「第二種:女性」ということに、今さら気づいた。
「種別」という言葉自体、不愉快だ。
第一種、第二種という順も、なんか違和感ある。
どちらにも○がうちづらい人、傷つく人もいるのではないか。
そもそもこの書類に性別を記す必要があるのか。
 
 
…★☆……
 
「ショウガイシャ」も「シュベツ」も、ある人は「何ら気にならず」、ある人は「ものすごく傷つく」。
言葉という便利な手段を持ったが故に、悩み増す…
 
 
 
 
 
「幸福」という言葉さえ毒を持つ
鞠子