お昼、テレビでミツバチを見た。
岩手県盛岡市にある老舗のハチミツ店を取材していたのである。
ものすごい数のミツバチが、ブンブンいいながら巣箱周辺を飛ぶ。
ズームアップすると、小さな六角形の小部屋が整然と並び、びっしり張り付いたミツバチがうごめいている。
ひとまわり大きな女王蜂は、背中に白い印をつけられ、いやがおうにも目立つ。
彼女は小さなミツバチを左右に散らしながら、気にいった小部屋にお尻をつっこんで、卵を産んでいる。(らしい。よくは見えない)
何度も見たことのある映像だが、しげしげ見たら、とっても気になりだした。
ミツバチたちは、なぜこんなにせわしなく動くのだろう、と。
女王蜂はともかく、その他のハチは、一匹たりともじっとしていない。ハニカム模様の板の上を、落ち着きなく動き回っている。
かといって、何か作業をしているようには見えない。つまり、非常にムダな動きをしているように見えるのだ。
下等な動物(という言い方は、大変失礼だが)ほど、生きることに貪欲で、無駄な行動は一切ない、と思うのだが、ハチはなぜこんなに落ち着かないのだろう。
凝視してしまった。
遠くへ飛んで行っては、花の蜜をかき集めてくる。
ハニカム模様の上で、動いて動いて動きまくっている。
そうして多大な労働の上にできたなけなしのハチミツは、知らぬ間にごっそり搾り取られてしまう。
なんだか哀れで無常を感じた。
そんなこと、全くお構いなく、番組放映中、ハチはうごめき続けていた。
搾取した蜜ほど甘くかぐわしく
鞠子