煮詰まったので、母の納骨堂まで歩いて行くことにした。
片道30分は軽くかかる。
途中、道沿いの家で突然、大きな音がしてビックリした。
まるでガラス窓1枚割れたかのような大きな音。
思わずのぞきこんでしまったが、その後、何も聞こえない。
悲鳴も怪我を心配する声も、何も聞こえないのだ。
違和感大アリだったが、無視するよりない。
さらに歩いた。
近くから、「シュッ!・サバッ!」と乾いた鋭い音が、一定間隔で聞こえてくる。
左右をキョロキョロ見た。
左手の家の塀の向こうで、おじいさんがゴルフクラブを振っているのが見えた。
庭が狭く、振り抜くたびに、植木の枝や葉をぶっているのだ。
危なっ! しかしやっぱり、無視するしかない。
さらに歩いた。
右手に新築の新しい家がある。
広い庭は、まだ完成していないようだ。
その庭の真ん中に、プラスチック製の粗末な椅子が1脚。
セーター姿のおじさんが、座ってタバコをふかしていた。
きっと家の中では吸えないんだ。
しかし、よりによって、庭の真ん中でポツン、と。
まるで「見せしめ」だが、これも無視するしかない。
歩くのは、足の強化だけでなく、脳を活性化する、という。
私みたいに「家政婦は見た!」タイプは、好奇心も、想像欲も満たされる。
一石二鳥でなかなかよい。
ただし、
事故や転倒には要注意。
どの家も喜怒哀楽のドラマあり
鞠子