川端康成の『雪国』…と言われたら、否が応でも期待する。
このテの文学作品が原作になっている映画は、何も疑わずに観る。
だがしかし、これはいけなかった。

昭和40年の松竹映画『雪国』。
主演は、岩下志麻と木村功。

のっけからイケなかった。

駒子(←岩下志麻)は、新潟の雪深い山奥の温泉宿で働いている19才。
まだ、芸者じゃない。
それなのに、いきなり「媚び媚び感いっぱい」なのだ。

もともと強い顔立ちだ。
きれいだけど、アクが強すぎる。
おまけに相手役の島村(←木村功)が、面白くもなんともない中年。
どうして駒子があっという間に恋心を抱くのか、全然説得力がない。

もう一人、キーパーソンの葉子(←加賀まりこ)。
こちらは「小悪魔感いっぱい」。
けなげで純朴な役どころなのに、全く合わない。

…といろいろ言ってみたが、実は、ストーリーも堪能できなかった。
1年に1度しかやってこない島村に対する思慕や会えない間の葛藤が感じられない。
もちろん、島村の本心も、全くわからない。
最後の火事も、とってつけたみたい。

実は私は『雪国』を読んだことがなく、詳細はわかっていない。
あわててウィキであらすじを引いてみたが、映画とほぼ同じだった。

…こんな内容なのか…

きっと、文章がすばらしくて、映画とは感動が違うんだろうけど、読んでみようという気はなくなった。
多くの人に認められた作品を味わえないのは、私の感覚の鈍さが問題なのか?

いずれにしても、本音、つまらなかった。




雪の夜に白い柔肌紅走る
鞠子