朝から嫌な言葉を耳にした。
ずっと、嫌な気分だった。
IT弱者の私はよくわからないが、スマホで撮った写真を整理するという機能だかソフトだかがあるんだって?
街中でインタビューして、それをうまく利用している人を紹介している映像が、テレビに映し出されていた。
たとえば、「変顔」ばかりをひとまとめにしておいて、スタンプ代わりに使う、とか、彼氏と2人で撮った写真ばかりをアルバムみたいにまとめているとか。
それは、まあ、勝手にどうぞ、と思ったのだが。
なかに、クラスのある男の子の写真ばかりを集めている子がいた。
高校生だか中学生だか。
その被写体の男の子、おとなしい子なんだけど、ギターを持つとかっこいい、何気ない動作がかわいいのだそうだ。
しかし彼女はキャハハと笑いながら言い放った。
「恋愛感情?全然ありませ~ん」
じゃあ、なぜ、この男の子の写真を集めてる?
「なんて言うか… まあ、愛玩動物みたいな感じ」
・・・もう、絶句するしかなかった。
彼女に悪気は全くないに違いない。
だからこそ、ぞっとしたのである。
さらに、
「愛玩動物みたい」と思われているのを承知でポーズをとっているその男の子も、あまりにおぞましいと思ったのだ。
さらにさらに、
このインタビューを平気でオンエアするテレビ側も許しがたい。
恋愛感情ではない。愛玩動物…
一日中、このフレーズがリフレインした。
まさしく世紀末…
なでられてめでられ悲し犬如く
鞠子