JRの駅前に、いくつか背の高いビジネスホテルがある。

今日、電車をおりて、駐車場に向かうときに気づいた。
カラスの大群。
いくつものホテルのなかでも『ドーミイン』と『リソル』だけにとまっているのである。
その他のホテルはゼロ。

かなりの数。
それが『ドーミイン軍』対『リソル軍』よろしく、威嚇しあうがごとく鳴きたてているのである。

しばらく見上げていたところ、何羽も飛び立ったり戻ったりしているものの、『ドーミイン軍』は必ず『ドーミイン』に戻る。
『リソル軍』もしかり。

彼らには、派閥とか家系とか、なにか集団の規則があるのだろうか。

カラスと言えども厳しい掟があるに違いない。
いや、カラスだからこそ、厳しい掟があるのかもしれない。

ゴミは荒らすわうるさいわ、人間にとってはウザい存在だが、彼らなりに懸命に生きているのだと感慨深く、しばし威嚇合唱を聴いていた。



群れを越え悲恋に堕ちる一つがい
鞠子