『裸足の季節』を観た。

トルコの田舎町。古い因習に縛られ、特に女性が抑圧されている現状から脱出を試みる5人姉妹の物語。
アカデミー賞やゴールデングローブ賞にノミネートされている…とのことで、とっても期待していたのだが。

うーん、ちょっとな、どうなのよ…という感じだった。

思春期の女の子たちに「ムシがつかない」よう(←イヤな言い方だが)、窓に柵をつけたり、電話やパソコンを取り上げたり、自由に外出できないようにする…というのは、確かに「人権侵害」。
そうして軟禁までして「純潔」を守らせ、都合のいい男に嫁がせていく、という、なんとも男尊女卑の因習。

しかし、そんな抑圧状態にありながら、5人の姉妹が「虐げられている」感じが映像から伝わってこなかった。
まるでモデルのように美しい肢体を目立たせるカメラアングル、美しすぎる顔立ち、何を着ていてもおしゃれ…塾や受験勉強に追われる日本の女の子たちよりのびのびしているように見えてしまった。

もっと言っちゃえば、
ロリコン系の人が観たら、とっても満足する画像。
危ないレズ的近親相姦、とも思えちゃったのは私だけか?

そんなことで、女性の解放をめざす社会派映画、とはどうしても受け取れなかった。
あか抜けない素朴な感じの姉妹だったら、全然違った印象になったんじゃないかと思うんだけど。

5姉妹を育てているのは祖母と叔父。
実は、この叔父、三女、四女に性的虐待をするというダメ男。
結果、三女は猟銃自殺をしてしまう。
この場面は悲壮なのだが、そんな悲劇をも薄めてしまうほど、5人が美しすぎ、映像が妖しすぎた。



悲劇すら魅力に変える女の美   鞠子