今、文学講座の一つで太宰治の『思い出』が取り上げられている。
近々の講義では、「『思い出』の中にある『美』」がテーマだったのだが、その際、「美はインパクトであり、醜は美に変化する」なる指摘があった。
美はインパクト…は、わかる。
しかし、醜が美に変化する…は今一つ実感がわかず、「???」なまま、講座は時間がきてしまった。
以来ずっと、「???」だったのだが、今日、『輪島塗』について取材したNHKの番組を見てて、ハタと気づいた…
見たのは、玉虫を素材に創られた小箱。
玉虫の羽を小さな小さな正方形に切り抜き、モザイクのように張り合わせて箱をおおう。
見る角度によって色も輝きも変わる小箱は、神秘的で、高貴で、とても美しかった。
…が、同時に「醜」も感じたのだ。
生き物の命を美に変える人間の傲慢さ。
生き物の命を金に換算する人間の身勝手さ。
その「人の醜」が見事なまでに美しい芸術品をつくりだす。
命が絡むからこそ、妖しい魅力が人をとらえて離さない。
クロコダイル、ミンク、チンチラ、セーブル…
醜であり美である。
あるいは美であり醜である
これらの魅力は、古くから人々を魅了してきた。
「醜が美に変化する」とは、こういうこともさすのではないか。
思えば、たとえ高価な値がつかなくても、
てんとう虫もアゲハ蝶も、美しく醜い。
よく見れば、生き物は、基本的にグロテスクだ。
もちろん、「ヒト」は、その最たるもの。
…熟練の技を駆使し、気の遠くなるような作業を経てできあがる玉虫の小箱を見ながら、漠然とそんなことを考えた。
真理なら私の醜もいつか美に 鞠子
近々の講義では、「『思い出』の中にある『美』」がテーマだったのだが、その際、「美はインパクトであり、醜は美に変化する」なる指摘があった。
美はインパクト…は、わかる。
しかし、醜が美に変化する…は今一つ実感がわかず、「???」なまま、講座は時間がきてしまった。
以来ずっと、「???」だったのだが、今日、『輪島塗』について取材したNHKの番組を見てて、ハタと気づいた…
見たのは、玉虫を素材に創られた小箱。
玉虫の羽を小さな小さな正方形に切り抜き、モザイクのように張り合わせて箱をおおう。
見る角度によって色も輝きも変わる小箱は、神秘的で、高貴で、とても美しかった。
…が、同時に「醜」も感じたのだ。
生き物の命を美に変える人間の傲慢さ。
生き物の命を金に換算する人間の身勝手さ。
その「人の醜」が見事なまでに美しい芸術品をつくりだす。
命が絡むからこそ、妖しい魅力が人をとらえて離さない。
クロコダイル、ミンク、チンチラ、セーブル…
醜であり美である。
あるいは美であり醜である
これらの魅力は、古くから人々を魅了してきた。
「醜が美に変化する」とは、こういうこともさすのではないか。
思えば、たとえ高価な値がつかなくても、
てんとう虫もアゲハ蝶も、美しく醜い。
よく見れば、生き物は、基本的にグロテスクだ。
もちろん、「ヒト」は、その最たるもの。
…熟練の技を駆使し、気の遠くなるような作業を経てできあがる玉虫の小箱を見ながら、漠然とそんなことを考えた。
真理なら私の醜もいつか美に 鞠子