うちの職場にひどい花粉症のオトコ後輩がおり、彼のたっての希望で事務所に加湿器が入ったのが3年ほど前。

健康増進法が施行されてから、段階を踏んで「事務所内は完全禁煙」となり、ずいぶん空気は改善されたと思う。

そこに加湿器まで投入。
 
実は私、あんまりその効用を期待してなかったのである。だがしかし、これが入ってから、明らかに「風邪を引く回数」は減った。晴天の日は「加湿イオン運転フルパワー」、雨の日は「イオン運転フルパワー」。自分の近くに設置するだけでなく、会議室に行くときも、持ち運んで勝手に自分の近くに置いている。

本当に風邪を引かなくなったので、うれしいのだが、はた、と考えた。
給水する時、アロマとか香水とか、一滴加えたらさぞ快適なのではないか。
…とか、
いや、器械には悪影響かな。
…とか、
納豆一粒入れたらえらいことになるかな。
…なぁんて。

あるいは、
効き目のうすい「毒物」を仕込んだら、苦しまずに死ねるのではないか。
…とか、
ヤなヤツが一人でいるときを見計らって「劇薬」を入れたらどうなるんだろう。
…などと、悪魔の想像をしてみたことも実はある。

さらには、
この事務所は井戸水だが、水が悪かったら不純物をばら撒くことになりゃしないか。
…という懸念もちらっとした。

それが、本当に起こっちゃってるじゃないの、韓国で。
「家の中のセウォル号」だって?

私と同じように「水の質が問題だ」と考えた人が、加湿器の中の水を殺菌しようとして入れた薬剤が原因なんでしょ。
いったい、その殺菌剤の成分は何?

いろんな意味で、私の想像があたり、ぞっとした。
しかし今日も一日、わが職場の加湿器は、井戸水を湛えてフル回転していた。




放散す無色の凶器気・線・恨<ハン>  鞠子