仕事で、本部から送られてくる機関誌を読んだ。
これが最近、情けなくって仕方がない。
「他を非難し、自分たちをほめそやす」風潮がエスカレートする一方なのだ。

1面に「コラム」に相当する短い文章が載っているのだが、今回、ここを読んだ時点でがっかりした。

冒頭、
「ここのところ、覚醒剤だとか不倫だとか、とにかく情けないようなニュースばかり。自他を貶めるな」、ときた。

普通なら、この程度はスルーする導入部だろうが、なにしろ「他を非難し、自分たちをほめそやす」機関誌だ。
続きが想像できてしまう。

・・・やっぱりな。
自らを貶めない・他を貶めない・相互の素晴らしさを最高度に発揮せしめる精神を持つ私たち…
ならば「覚醒剤」も「不倫」も「賄賂」も「虐待」も「傷害殺人」も起きうるはずがない、だって。

まるで新興宗教ではないか、これでは。
それもいたって軽薄な。

覚醒剤・不倫・賄賂・虐待・傷害殺人・・・
この言葉だけ聞けば、「いけないこと」でしょ、そりゃ。
しかし、いけないとわかっていてもやってしまう、簡単にやめられないのが人間の性であり、そのどうしようもなさを認識しあうところからスタートするのが私たちの仕事の原点なのではなかったのか。
物事を「白」か「黒」かだけで判断しない、中間の「グレー」が圧倒的に多いことを認め合えることが、私たちの仲間ではなかったのか。

・・・少なくとも私がここに就職する際には、そのような理念を教えられた。

そもそも、私にとって「政治家の下半身スキャンダル」など芸能ネタ程度の話。
政治家としての責務をきちんと果たしてくれるなら、プライベートはどうでもいい。

だけど、うちの本部も完全に芸能ネタに乗せられちゃってる感じ。

…なんて怒ってもみたが、「じゃあ、お前がやれよ」と言われても、やれないしやる気もない。
これこそ、口ばっかりの極致。
この場で吠えるなんて、実はもっとも卑怯な話。

…ああ、形の違う同類、か。





自らを白と言う人裏は闇         鞠子