怠けアリがいた方が、アリ集団は長く存続できる・・・
北海道大学大学院農学研究院のこの研究結果、思わず笑ってしまった。

働き者の代名詞みたいなアリやハチ。その集団には、必ず「ほとんど働かない怠け者」が常に2~3割いる。
怠惰なこの2~3割、いざというときの代替要員なのだそうだ。
なんでも「常に誰かがしないと全体が致命的なダメージを受ける仕事」があり、働きアリに疲れが見られた時、スケットとして動き出す。
それも、腰の軽いヤツから順に動き出すという要領のよさ。
こうして「常に怠け者がいる」方が、集団は安定的に永続する、ということらしい。

これ、絶対笑える。
だけど、非常に理にかなっている。

会社でも同じだ。
私の職場のように「最低人数で仕事をこなしている」と、誰か一人ダウンしたとき致命的なことになる。
常にいくばくかの「余剰人員」がいれば、何とかなる。
新しいアイディアが生まれるのも、余剰人員による余裕があってこそ。

…ただなぁ、人間の場合、そう簡単にはいかないな。

なぜなら「ふだん怠け者」は、オールラウンダーでなければ意味がないから。
製造がダウンするか、営業がダウンするか、配送がダウンするかわからない。それらなんでもできるという大前提が必要だ。
つまり、「ふだん怠け者」=「実は非常に有能・多能な人材」ということになる。

さらに、「ふだん怠け者」に対する、それ以外の人々の心理的ないらだち、という問題もある。
私の前にいる人は、私が風邪をひいて休んだら即、経理処理をやってくれる、テープおこしをしてくれるとわかっていても、普段は1日中何にもしないで目の前で居眠りしてる・・・となったら、それはそれはイライラするだろうな、きっと。

アリやハチはどうなんだろう。
「ふだん怠け者」をどんな目で見てるんだろう。
もしかしたら人間より純粋で、「実際はオールラウンダー」であり、「いざとなったら必ず助けてくれる」ことに敬意を表していたりするのかも。



実力が働かずして身を助く         鞠子