「5才は若返る」につられ、時々顔剃りエステに行く。
いや、正直なところ、今や、ローガンにつき、怖くて自分で顔が剃れない。

たまたまそのお店で「顔剃りは理容師資格を持った者だけができる施術です」と書いてあるのを見つけた。
理美容業界の資格の詳細はよく知らないが、確かにハサミやカミソリといった「凶器」を扱うんだから、誰でもやれます、というわけにはいかない。

…などと、顔を剃ってもらいながら考えているうち、気づいた。

そういえば、今、私は非常に危険な状態ではないか。

ケイさん(←シェービスト)は、私のほおにカミソリをあてている。
もしケイさんに、ほんの少し悪意があったら、そうでなくてもほんの少し手元が狂ったら、その刃は私の顔を切る。

ケイさん、という人をよく知ってるわけじゃない。
なのに疑いもせず、無防備に顔を差し出しているなんて。

考えてみれば、こんな危険は山ほどある。

電車や飛行機。
当たり前のように利用するが、全然知らない運転士やパイロットに、平気で命を預けているのと同じことだ。

ましてや、ドリルで歯を削るだの、血管に針を刺すなど、すべて「私の命、お気に召すまま」。

つまり、今、無事にあるのは、偶然な幸運が積み重なってる、ということでもある。



カミソリが横に引かれて涙ぐむ     鞠子