昨日も「気になる新聞記事」だったが、今日もイラッとする記事を見つけた。
ノンフィクションライターN氏が書いた「介護老人保険施設」。
92歳の男性の実例が記されていた。
この男性、脳梗塞で入院。病院から「自宅で暮らすのは非常に難しい」と言われ、家族は老健に入れた。
でも本人は「帰りたい」の一点張り。
そこで家族、ケアマネ、ケースワーカーが協力し、在宅に切り替えることにした。
結果、男性はリハビリに精を出し、3か月後に自宅へ。
以来、徐々に回復に向かっている。
いわゆる在宅介護の成功例。
N氏は「本人と支える側の気持ちが一致すれば、こんな光景を見ることもできる。まずはご本人の声に耳を傾けてください」と締めくくっている。
…冒頭、「イラッとする記事」と書いたが、同時にものすごく傷ついた。
「帰りたい」…母もそう言い続けた。
その言葉、いつもどんな思いで聞いていたか。
本人の意思を無視して施設に置かねばならない家族の気持ちがどんなにつらいか。
本人と支える側の気持ちが一致?
少なくとも病院や施設で知り合った介護トモは、みな苦しんでいた。
わかってても、そうしたくても「できない」人もいるのである。
そして、介護を終えた今でも、「本人の意思を無視したこと」に対する自責の念は決して消えない。
私のような介護経験は、決して特殊なパターンではないはず。
むしろこの男性のようなハッピー事例の方が少ないのではないか。
N氏、わかってない気がする。
きれいごとが過ぎる。