結局、誘惑に負けて、昨日、バーゲンに行った。

アパレルメーカーLのバーゲン。
ふだんは小売をしていない。
だから「試着室」なるものがない。
この日のために、会場の一角をパーテーションで仕切り、「簡易試着室」が急ごしらえでつくられているのみだ。

その簡易試着室に、気になる洋服を2点持って入ったのだが、すでにオバサントリオ(←自分のことは棚に上げ、今日はあえてこう言う)が、有り余るほどの洋服を持って入り込み、スペースを占領していた。

「1人2点まで」の掲示を無視していることもハラが立ったが、それ以上に、あまりにむなしくやるせない気分になったその光景。

…それは、1人のオバサンが試着している姿。

そのオバサンは、モスグリーンの光る素材でできた「前衛的なミニのワンピース」を試着していた。
どう見ても、「ハロウィンの仮装」、あるいは「スターウォーズの新作に登場するロボット」にしか見えない。
ところがトリオの会話からすると、「娘か息子に関する何かのセレモニーに着ていく晴れ着」なのだ。

それはいかん。
あまりにいかん。
余計なお世話は重々承知だが、絶対にいかん。
私が娘or息子なら、けんかをしてでも着るのをやめさせる。

それなのに、残りのメンバーが、激ホメしてるのだ。
「いいわよぉ、それ、すごい似合う」
「式にぴったり」

このメンバーは、本心からそう思っているのか。だとしたら、美的感覚を疑う。
そうじゃなくて、無責任な「口から出まかせ」か。だとしたら、もっとタチが悪いではないか。

私のセンスが正解などと言い切るつもりはもちろんないが、そこを曲げて、今日はどうしても言いたい。

普通のオバサン(←私も含めて)は、ハレの場には、「オーソドックスなスタイル」が一番品があり粋だと私は信じている、と。


たかが服それでも「私」を写しだす   鞠子