昨日、仕事であった大きな行事の帰り際、会場のホテルの地下駐車場でエンストしてしまった車があった。
うちの行事に参加してくれた女性の客様の車だ。

その車は、駐車スペースを出たところで止まったため、駐車場を出ようとする車が大行列になってしまった。

たまたまうちのスタッフ5名(うち、1名は私)が、その場に遭遇した。
車も機械もからきしダメな私は大パニック。
他4名が、ギアをニュートラルに入れるだかなんだかして、とりあえず、人力でもとの駐車スペースに車を納めた。
行列は、ようやく解消の方向に向かった。

だがしかし、車をどうするよ。
私など、「JAFを呼ぶ」、あるいは「取り合えず、このまま車を置いて帰って、明日何とかする」しか考えられない。
しかし、うちのオトコ後輩Tが、「故障車をもう一度出し、前後を入れ替えて僕の車と向かい合わせにし、バッテリーをつないでみる」と言い出した。別のオトコ後輩が、「しかし、止まる前のエンジン音からすると、たとえエンジンがかかっても坂を上るのはムリに違いない」と懸念を口にした。

ただ見てるだけの私は、ものすごく非人間的なことを考えていた。

…私は大変に疲れてイル。夜9時を回っているが、まだ何も食べてナイ。とりあえず、車はこのままにして帰ってくれ。そして私を早く開放してくれ。ああ迷惑…

いや、疲れているのは、スタッフ全員、みな同じだ。(年齢分、多少私の疲れの方が多いが)
しかし特にオトコ後輩T、ここぞとばかりてきぱき指示を出し始めた。
自ら軍手をはめ、ケーブルを持ち出し、まるで「水を得たサカナ」のように。
さっきまでの行事の際は、だらりんとしていたのに。

やはり見ているだけなので、私は考えた。

…私には全くできないし、やりたくないことだが、Tは、「こういうことが好き」なのだ。
世の中って、だからうまくいくんだな、と。

結局、故障車は、Tの活躍により、地上まで出すことができた。
ロードサービスも呼んだのだが、広い道路まで出せば、処置がしやすいに違いない、ということで。

「みんな違って、みんないい」が、現実として身に染みた夜のアクシデントだった。


トラブルを楽しむ人と嘆く人  鞠子