マイケルが死んだ。

…ありえない。
もう、やりきれない。

職場の階下にあるエステが飼っていた元のらねこ・マイケル。
うちのオトコ後輩たちにはいっこうになつかなかった。
私だけ、呼べば返事し、見つければ飛んでくる。
完全に無防備だった。

飼い主さんに内緒で、ひそかに情を交わしていたのに…

うちの事務所から見えるビルの裏口に、マイケルは横たわっていた。
窓からその姿を見つけたとき、「マイケルとからだの色が似ている」とは思ったが、確信はなかった。
雨があたるところで寝ているのは、変だと思った。
だってマイケルは、雨が嫌いだったから。

小枝や枯れ葉で一緒に遊んでいても、雨が降ってくると木の下に行きたがった。

なのに、雨がまるかかりのところで…

…ガックリした。
私のねこじゃない。
でも、ついこの前、木の幹にいるやかましいセミを一緒に見上げたのは私。





あの朝も君をこの手で抱いたのに


ぬくもりが今もこの手に残ってゐる

                                                               鞠子