少し前から、私の職場では客様M氏の言動で継続的に盛り上がっている。
M氏の編で本が出たのだ。
M氏は、それを売ろうとなりふり構わず奔走している。
いや、「売る」というよりむしろ、自分が書いた部分を一人でも多くの人に読んでもらいたい一心。
その「部分」とは、知識の平らな羅列。
それで最近では、手当たり次第、謹呈するという暴挙に出ている。

M氏はとうの昔に還暦を過ぎてる「いい年をした大人」だ。
なのに髪振り乱して本をばらまいている姿は、気の毒で憐れだ、よく言えば。
悪く言えば、執念に憑かれた夜叉ぶりが「笑える」。
だから、私の職場で盛り上がっちゃってるのだ。

ところで、
今日はまたまた3/4有休をとって、H教授の文学講座を聴きに行ったのだが。
太宰治の作品について講義をしている最中、先生がこんなことを言い出したのである。

「こういう仕事をしていると(←文学部教授)、いろんな人からいろんな本が送りつけられてくるんです」

…ドキリとした。

「添え状がついてて、そのほとんどが゛あなたに読んでほしい゛と書いてあるんです。いや正確には、印刷してある。つまり、あの人にもこの人にも゛あなた゛と言ってるわけです」

…いかん、リアルすぎる。笑えてきた("⌒∇⌒")

「仕事柄、感想を書かなきゃなんないでしょう。それが、読むに堪えないものばかりで…」

…あ、ダメだ。もう笑いが隠せない(* ̄∇ ̄*)

「仕方ないからまえがきとあとがきだけ読んで゛なかなか結構な書き出しで…゛と書くんです」

あはは、なんなのこの話題。
まるでM氏を揶揄ってるみたいじゃないの。
…もう、大爆笑。
ただし、大爆笑してるのは私だけ。普通に聞いたらたいして面白い話じゃないもんね。

さらにダメ押し。
帰りがけ、「皆さんにもうひとつお土産を…」として『村夫子』なる言葉を教えてくれた。
後でネットで調べたら、
「〈そんぷうし〉見識の狭い学者をあざけっていう」とあった。

わぁ、これ、完璧M氏じゃん(≧∇≦)

もちろん、H教授は、M氏を知らない。
当然、私の職場の「M氏祭」など全く知らない。
成り行きで、偶然、話したに違いない。

だけど不思議なことに、今までにもH教授の講座中、こんな「偶然の一致」が何度かあったのだ。

例えば、
母が亡くなってから初めて出た講座では、課題図書とは関係ないのに、
「臨終の枕元で息子が読んだ句」の資料が配られたり、
「俳句と川柳」のことについて話を聞いた直後に客様から「一句、読まなきゃいけないんだけど、知恵を貸して」と頼まれたり。

ある意味、不気味な「偶然の一致」。
先生、透視能力でもおありなのか。

…んん? もしかして、私の「念」が強すぎるのか?