今日、行ったのは「ベー・チェチョルコンサート」。
「奇跡のテノール」と表題がついている。

この方、「アジアのオペラ史上最高のテノール」と称されていたのに、甲状腺がんで声帯と横隔膜の神経を切断、歌声と右肺の機能を失った。
それが、声帯機能回復手術を受け、厳しいリハビリを経て奇跡の舞台復活を果たしたという壮絶な経歴なのである。

今日、歌ったのはシューベルトやトスティ、日本歌曲etc.…

驚いた。
今も右側の声帯は完全に麻痺しているのだそうだ。
単純に考えたら、肺活量も半分。
それで、この深い声。
前の方の席だったのでしかと見たが、ブレスもごく緩やかで全然力が入ってない。

病気をする前は、いったいどんな声だったのだろうか。

先週からまた喉を痛めている私は、金曜と日曜にあった練習もセーブしまくり。
それだけでもイラついているのに、「声を命と引き換えなければならない」とわかったとき、どんなに絶望しただろうか。

察して余りある。

…が…

すばらしい歌声だから好き、とは限らないのがややこしい。
私的には「好きなタイプの声」ではなかった。
う~ん、「面食い」ならぬ「声食い」。
好みは一筋縄ではいかないのである。

…それと…

伴奏者にイラついたのは私だけだろうか。

伴奏者って、本当はめっちゃ難しい役割なんだよね。
ピアノがうまく弾ければいいってもんじゃない。
歌い手の体調や精神状態、声の調子を察知し、弾き方を調整して、歌い手を最高に輝かせなければならない。
でも、出すぎてはいけない、と思う。

今日の伴奏者はまるで「主役みたい」だった。

主役が真剣な面持ちで厳粛に入場してくるのに、後ろから満面の笑顔をふりまき入場。
退場時も同様。
ピンクのドレスが華やかすぎ。
演奏中は、曲にのめり込みすぎ。
おまけに、弾きながら口パクで歌って陶酔しきってる始末。

主役はおたくさまか?

…正直、ウザかった。

すみませんm(__)m
今日も小うるさいオバサン聴衆で。