観てきましたん、中村吉右衛門さま。

今日の松竹大歌舞伎、演目は『角力場(すもうば)』。
吉さまは、濡髪長五郎という人気力士の役なのである。

えっ? 吉さまが、肉襦袢姿で出てくるのか?

パンフには、草相撲出身の若者、放駒長吉と取組がある、と書いてある。

放駒を演じるのは、中村種太郎改め中村歌昇。
ほんとに若い、のだ。
実際に、おじいちゃんvs孫、みたいな取組ではないか。
いったいどうやって演じるのだろう…とドキドキしていたが、
心配ご無用、取組シーンはなかった。
いでたちも肉襦袢ではなく、取組を終えた後、着物を着て出てくる。

だがしかし、デッカさを表現するために、かなりボコボコに着まくっている。
その上、10センチもあるよな高下駄を履き、小さな角力小屋の出口からようやく出てくるのである。
そして、茶屋の長椅子の上に座る時、黒子がおしりの下に小さな箱を後ろからスッと差し入れる。
そうして、座り姿に高さを出す。

正直、吉さまは結構なお年だ。
この重量を身につけ、不安定な高下駄。
歌舞伎役者は、体力、気力ともに充実させなければとてもやれない。

それにしても、相変わらずのド迫力オーラ全開。
舞台の真ん中で長椅子に座り、悠然と扇子を使う優雅さと威厳。
地の底から響くような堂々たる声。
思わず見とれてしまいましたわ。
「播磨屋っ!」はうまく言う自信、ないけど、危うく「カッコいいっ!」と言ってしまいそうだった。




吉さま、
どうかいつまでもステキなお姿、見せてくださいね。