『めざましテレビ』に『きょうのわんこ』というコーナーがある。
そこに出ていた「ハナちゃん」というゴールデンレトリバー。

線路上をうろうろしていたところを発見され、現在のご主人が家に連れ帰った。
この方、飼い主を探しまくったが結局見つからず。
以来、このご主人のおうちに飼われ、毎朝仕事場である板金屋さんにいっしょに出勤。
社員の皆さんにも可愛がられ、また看板犬として、幸せな日々を送っている、という内容だった。

ハナちゃんはいかにも穏やかな風体の癒し犬。

でも、ちらと不安に思った。
前の飼い主が、このコーナーを見ていたらどう思うだろうかと。

ハナちゃんを意図的に捨てたんだろうか。
それともはぐれたんだろうか。
何かのっぴきならない事情があったんじゃないだろうか。

映像を見て、「あ、うちの子!」…になりゃしないだろうか。

仮に意図的に捨てたとしても、今、それを後悔してる、としたら。
板金屋さんに出向いて「返してほしい」と言ったりしたら。

今のご主人だって、今さらハナちゃんと別れることなんてできやしないだろう。

飼い主を探すのにずいぶん手を尽くされたとのことだから、今になって飼い主が名乗り出てくることなんてないだろう。
でも「絶対ない」とは言えない、と思う。

私が元の飼い主だったら。
「捨てる」こと自体、ありえないが、仮に、一瞬、魔がさして捨てたとしたら、
この映像は耐えられないだろうな。
返してほしい。
でも絶対にそんなことを伝えてはいけない。
この葛藤で胸が裂かれる思いだろうな。

今のご主人、ハナちゃんをテレビに出すこと、こわくなかっただろうか。