ナミダのクッキングNo.869

主義に酔えず読書に酔えず、酒に酔えず、女に酔えず、己れの才智にも酔えぬ身を、独りで哀れに感じた。

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自分を微温の世界から救い出して、筋肉に熱血を迸らすか、腸まで蕩ろかす者、それが唯一の救世主だ。

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戦争も革命も北極探検も人間の怠屈醒ましの仕事だ。

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酒を飲むのも、散歩をするのも、気焔を吐くのも、あるいは午睡をするのも、只持ち扱ってる時間を費す為のみで、外に何も意味はない。そして一月二月を取り留めもなく過しては、後から振り返って、下らなく費やした歳月の早く流るるに驚く。

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さて、
こういうオトコはいかが？

退廃的。
破滅的。
懐疑的。
自己の内部で、やり場のない苦悩に悶々とするオトコ。

この前、私は、
｢好きなオトコのタイプ」を聞かれて即答できなかったのだが、今日、すこうし明確になった。

先出のタイプ。
好きな部類。

おそらく、
例えば夫として、子どもの父親としては不適格。
つまり、
私は、一般的な幸せは望めないオトコがタイプだ、ということだ。

ちなみに先出のオトコは菅沼健次、という。
正宗白鳥『何処へ』からの抜粋。
今日のエクステンションカレッジで取り上げられた作品だが、先生の講義そっちのけで、健次を深追いしつつ、確信したのであった。

…私はシングルでいて正解、だと。