先週末、第九の練習後、喫茶店でおしゃべりをしていた。
その時、話の流れから、
「鞠子さんは、どういうタイプの男性が好きなのか」
…と問われたのだが、思わず言葉につまってしまった。
…説明できないのだ。
若い頃は、「背の高い人がいい」だの「筋肉質がいい」だの、自分のことは棚にあげて、外見中心にいくつも列挙できたのだが、今や、どんな点をあげても不十分かつ白黒はっきりできないのだ。
特に、内面的な点は、不透明極まりない。
自信満々のオトコはヤだ。
かと言って、「俺はダメだ」「俺はできない」ばかり乱発するオトコもどうかと思う。
要領のいいオトコはヤだ。
かと言って、何事もモタモタしているオトコもどうかと思う。
…そんなことで、「どんな男が好きなのか」と問われても、的確に答えられない。
「好きになった人が好きなタイプ」としか言いようがない。
ところで閑話休題。
先回のエクステンションカレッジ帰り道。
一緒に授業を受けているS女史と地下鉄に乗った。
その時、通路をはさんだ目の前に、赤ちゃんを抱っこした若いお母さんがいたのだが、S女史は遠くからずっと赤ちゃんをあやしていた。
あやしながら、何度も「かわいい、かわいい」を連発している。
S女史は美しい60代のシングルだ。
そこで、聞いてみた。
「Sさん、子どもを生んでおけばよかった、と思う?」
S女史の返答は、深かった。
「若い頃、゙この人の子どもがほしい゙と思える人と出会わなかった。でも、結婚し、子どもを持った友人の多くは、結婚生活が長くなるにつれ、゙ダンナはうっとうしいけど子どもはすごくかわいい゙と言う。なぁんだ、結局そんな思いになるなら、誰の子でも産んでおけばよかったな、と思う」
なるほどな。
そう考えたら、年々、好きなタイプの境目が曖昧になる私など、仮に今、子どもがいたら、その子の父は「嫌いなタイプに変わっちゃってる」かもな。
いずれにしても、
S女史も私も、いくら望んでももう子どもを産むことはできないから、
「子どもを持たなければわからない喜びや苦しみがあるはずで、それを知らずに一生を終えるのは、ちょっぴり淋しい気がする」
…と言ったら、S女史はこんなアドバイスをしてくれた。
「確かに子どもを持たなければ、子どもを持つ喜びや苦しみはわからない。でも、○○をしないから、あるいはしたことないから、その喜びや苦しみがわからないってこと、他にもいっぱいあるじゃない。むしろ、その方が多いくらいだよ。
だから、そういう考え方をしたって意味がない、と私は思う」
…やっぱり一人で生きているオンナは強い。
あ、私もか…