「スカパーかWOWOWしか観てません」と言い放ったワタクシですが、今日は掟を破ってNHKスペシャルを楽しみにしておりました。

『香川照之・密着300日』

俳優としての香川さんの凄味は脱帽もの。
それなのに、何で今さら歌舞伎界に飛び込むのかと不思議に思ってた。

歌舞伎の舞台は、生半可な練習でできるはずがない。
それは、後発ファンの私でもわかるほど。

歌舞伎の家系に生まれたら、有無を言わせず歌舞伎役者にさせられる。
そういう子どもは本当に気の毒だ…と思っていたけど、ファンになってから、気が変わった。

あの総合芸術は、物心ついた時から、「その空気」を吸い、肌で感じていないとダメなのだ、と。

それを今さら、なぜ…
いくら血を重んじるとはいえ、そもそも父・猿翁は、幼い彼と母(浜木綿子)を捨てた男ではないか。

…スペシャルを観て、よくわかった。

…そんな次元の話じゃないんだ、これは。

うまく表現できないが、憎悪とか確執という以前に、「歌舞伎神(いや、゙鬼゙かも)に憑かれてしまっている」んだ、この人たちは。

猿翁は、芸の成就と家庭の幸せを両立できるほど自分は器用ではないと悟り、家庭を捨てた。

その父に、「教えて下さい」と頭を下げる息子。

脳梗塞で倒れ、自由がきかないからだで、懸命に芸を伝授する父。

激しい稽古中に、そっと見守る母。

芸の修羅場
…こんな生き方をしている人たちがいるのだと、久しぶりにナミダ、ナミダでした。

3月、香川照之改め市川中車、襲名披露に行きます。

…ますます楽しみになりました。

…う~ん、始めからナミダ、ナミダかもなぁ…