一年くらい前だったか、客様S社長が来所、お茶を飲みながら雑談していた。

息子が東京の同業会社で修業している。
バリバリの営業マン。
結婚して、家庭も持った。
いずれ帰ってきて会社を継ぐから、その時はよろしく頼むね。

…そんな内容だった。

それが、1ヶ月ほど前、S社長が来所した際、「すでに息子は戻ってきていて、働いている」と言うのだ。
あれ?前に聞いた時は、少なくとも3年ぐらい後に戻る…というニュアンスだったので、えらく早く戻ってきたんだな…と疑問に思った。
それよりなにより、S社長、あんまりうれしそうじゃないのだ。

そのうち、S社長は、ぼそぼそと話し始めた。

「息子はサラ金に手を出して、激しい取り立てにあった」
「家庭もうまくいかなくなり、離婚した」

…それってかなり深刻じゃないの。
どうやらサラ金の方は、S社長が弁済したらしく、差し迫った危機は回避したらしいが。

大都会のデキる営業マン。
女性関係が派手か?
全身ブランドづくめで高い買い物しまくりか?
いやいや、一攫千金を夢見たギャンブル投資?

想像すると、颯爽とした身のこなしの少々キザっぽいチャラめなイケメン男子。

…だったのだが、今日、S社長が、くだんの息子氏を連れてやってきて、私はハト・マメ状態になってしまった。

だって、
予想大ハズレ。
とっても常識的で穏やかな男子。むしろ口数の少ないゆったり系。

ほんとにこの人が、サラ金で借金???

信じられなかった。
オンナもカケゴトもブランドモノも、どう考えても結び付かないタイプ。

見た目だけで判断するのはとっても危険。
そんなことに妙に納得した息子氏との出会いでした。