今日は1時間、早引きして、お芝居を観に行った。(←早退の理由は、職場には告げてません、念のため)

観たのは『子どもの一生』。
出演は、谷原章介さん、鈴木砂羽さん、中越典子さん、吉田鋼太郎さん、他。

谷原さん狙い?…ではなく、原作者が大好きな中島らもさんだったから、です。

瀬戸内海の某孤島にある医療クリニック。
そこで怪しげな精神療法を受ける患者たちが陥る恐怖の物語、なんですが…

らもさんは、現代の病理や人間の真理を鋭く的確に、なのにおもしろおかしく、わかりやすく表現する天才だと、私は超高評価している作家。ただ舞台になると、これはなかなか難しい…という気がした。

チラシによると、「テクノストレス」「精神カウンセリング」「バーチャルリアリティ」という概念を積み上げてこの脚本を書いた、となっている。

確かに、
大型家電量販店の店員。毎日、大音量のテーマソングを聞かされ、その音楽が心の中で飽和状態になり心身に異常をきたす。

とか、

自分勝手な仲間(クリニックだから患者)をこらしめるためにでっち上げた人物が本当に現れて(幻覚なんだけど)、いじめる側を恐怖に陥れる。

とか、

解消できないほどのストレスを解消するために、孤島に閉じ込め、薬物を使い、精神状態を強制的に子どもに戻す。

とか、

一側面一側面が取り上げるに充分すぎるような問題なのに、舞台となると、それらが急速に流れていってしまう。
小説なら、速度調整をしながら読めるんだけど。

こんなにいろんな問題を入れ込むなら、やっぱり「読む」手段の方がいい。

ん?
こんなウンチクより谷原さんはどうだったかって?

確かにイケメン。それに、スタイルがすごくいい。そして声が甘い。

それでも今日のイチオシは、中越典子さん。

パワーある。
声が通る。
全身で演じているのがよくわかる。
演じることが幸せで、演じられることに、すごく感謝している、っていう感じが充満している。

では舞台演出は?

椅子の使い方が、とても効果的だった。
首をはねる、みたいな残虐シーンもあるんだけど、照明や音響の特殊効果で、「残酷だけど残酷に見えない。でもリアル」に表現されていた。

それと…

最後の最後に出演者の皆さん全員、舞台に立ち、お礼の意味も込め、何人かが肉声で挨拶したのは、親近感があって、すごく好感がもてた。

…いろんな意味で、舞台も演奏会も、やっぱりナマで観るのはいいよねぇo(^-^)o

…これ、やめられそうにない…