出張先、予想以上の大雪吹雪視界ゼロで悪戦苦闘している間に、私の職場では大問題が勃発していた。
理不尽な人事異動を画策していた上司が、「来月末で退職する」と言い出したらしいのだ。
うそやろ…
ついこの前まで、自分はひとつ上のポジションに上がり、私としては「人間的に全く信用できないヤツ」を後釜にする…などと言ってたのに。
前日のトップ会議で全く想定外の事態が持ち上がり、「心が切れた」のだそうだ。
人事異動などとっても言い出す雰囲気じゃなかったみたい。
退職、となると相当な勇気がいる。
私だって人事異動案を聞かされた時、仕事に対する熱意はすっかり醒めたが、だからと言って退職したら、音楽も文学も、歌舞伎もスイミングも、洋服もスイーツ(?)も、もちろんアルコール(??)も諦めなくてはならなくなる。
…なんて、絶対ムリ。
上司の場合、私以上に金銭的には切実だ。
だって家のローン、子どもの学費、親の介護アリ…
収入がなくなってしまったら、いったいどうするのか。
それより何より、まだ若い。
退職してブラブラしていられるような年齢じゃないし、さりとて新天地で新人として1からスタートするような年齢でもない。
実はこの大問題、大雪と悪戦苦闘している道中に、メールで知らされた。
それも、送信元は客様だ。
そう、上司本人でも同僚でもオトコ後輩でもなく、客様から知らされたのだ。
客様自身、「私は知っているもの」という前提で、確認のためにメールしてきたのだった。
早朝から直行したから、私は顛末を知り得なかったのだが、それにしても、余りにも短絡的な決定ではないか。
なんだかなぁ、明日、なんと声をかければいいのか。
それに私自身の身の振り方も、とってもビミョーになってきた。