昨日の私のブログに対し、アズさんから、「人間、何かの能力が劣ってきているのではないか」とのコメントをいただきましたが、それで思い出したことがあります。
思想家・内田樹さんの説です。
10年くらい前、明石市で大勢の死傷者を出した歩道橋事故がありましたよね。
当時、警備体制、救護体制の不備が大きな問題になりました。
でも内田さんは、「もっと深刻なのは、現代人の身体感覚の衰えだ」と、著書の中で、警鐘を鳴らしていたんです。
すごい混んでるから、行ったら危なそうだ。待つか?迂回するか?…
程度の差はあれ、そこにいた人々は、そんな身体的危機感を持ったはず。
なのに、みんなが行くから大丈夫だろうという頭脳的な予測の方を信じて行動してしまった。
これを「身体的感受性の衰えのきわだった兆候だ」と書いていました。
今の子どもたちは、家にこもって遊ぶばかりで、身体感受性は鈍感になる一方。
例えば『ハンカチ落とし』という遊び。(←懐かしいo(^-^)o)
自分の後ろにオニがハンカチを落としたことを察知するかどうかで勝敗が決まりますよね。
内田さんは、「勘のよい子は、オニの心に浮かんだ邪念を察知する」と言っています。
人は緊張すると、心拍数が上がり、発汗し、呼吸が浅くなり、体臭が変化する。ハンカチを落とす瞬間のオニも、緊張からそういった身体的信号を発する。それが内田氏のいう「邪念」です。
私も幼いころ、よくハンカチ落としで遊んだけど(←年代、バレバレだがf^_^;)、ハンカチを落とされるまで、オニの足音や息づかい、ハンカチがフワリと落ちる風圧をとらえようと、背中にすごい神経を集中させてた気がする。
「邪念」を感じるほど鋭敏ではなかったけど。
今や、それ以前の問題で、外遊びをする小学生すら、見たことがない。
自分のからだを自分で守るという本能すらも、気づかぬうちに、徐々に失いつつあるのか…
内田氏の言う通り、
ただごとじゃないよね、これって…