母がお世話になってる老健。平日、仕事帰りに寄ると、正面玄関は既に閉まってるから、インタホンを押して通用口を解錠してもらうという一手間をおかけしている。

ところが、
たまたま通用口近くで夜勤のスタッフと運よく出会うことがある。
そういう時は、そのスタッフが外から解錠してくれる。
インタホンの下に10センチ四方のカバーがあり、それをあけて、数字キーに暗証番号を打ち込む仕組みだ。

ある晩、入所した時の担当スタッフ(←フロア長だった)と通用口前でばったり出会った。
生活環境が変わり、不安定な日々が続いた母を献身的にみてくれたスタッフで、ものすごくお世話になった人だ。
でも今は別フロアに移動していて、会うのは久しぶりだった。

型通りの時候のあいさつをしたあと、解錠手続き。彼女は左手を上げ、数字キーを隠し、右手で暗証番号を打った。

その姿勢。
それは異様な姿勢だった。

なんて言ったらいいのだろう。「絶対見せへんぞ-!」という強固なバリアを張った防御の仕方。
左手には重い荷物。それを腕にかけたまま手を持ち上げ、腕と手のひらで必要以上に数字キーを覆い、私の視線を完全シャットアウトした。

それまで、他のスタッフにあけてもらっても、みんなカバーをあけ、普通にピッピッとプッシュしていた。

見てないし、私。見たって仕方ないし。

それはそれは異常なほどの隠しよう。そこまで信用されてないのかと、かなりガッカリした。

…とこんなことをBFに話したら、

そのスタッフの行動は職務に忠実で正しい。無防備な他スタッフの方が間違ってると思う。

…と言われた。

もし私が暗証番号を知ってしまって、そのあと例えば泥棒に入られたりしたらどうなる?
真っ先に疑われるのは鞠ちゃんだ。
だから「暗証番号を知られないようにする」ことで、セキュリティを高めることはもちろん、同時に利用者家族、面会者を守ることにもなる。

…というのだ。

そうか、そういう考え方もあるな、確かに。


さて、ところ変わって、今日、銀行でのワンシーン。

用をすませ、車に乗り込んだところで、外回りから帰ってきた行員さんと目があった。お互い会釈した後、彼は通用口から銀行に入っていった。

通用口をあけるのは、老健と同じシステムだ。違うのは暗証番号のケタ数。銀行は、猛烈にケタ数が多い。
それを行員は、目にも止まらぬ早さで打ち込んだ。

…と実況中継できるほど、打つところがまる見えだったのだ。フルオープン状態。隠そうとする姿勢は全くなかった。

これはまずいでしょう。
銀行は、老健以上に高度な、かつ万全のセキュリティが求められる、と思わない?

私、この銀行に個人の預金とかあるんだけど、何か不安になっちゃいました。