拝啓、町田康さま。
久しぶりに康さまと逢いました。
今日のデートは『浄土』。
康さまに逢うのは1年ぶり…ですよね、確か。
『浄土』も相変わらずの康さまワールドでしたが、私が今までデートした中では、一番風刺的要素が強くて、かつそのメッセージがストレートに表現されているように思いました。『浄土』にある7つの作品、甲乙つけがたいのですが、あえて3つ選ぶとすれば『本音街』と『一言主の神』『自分の群像』。いや『ギャオスの話』も捨てられないかな。
『自分の群像』に出てくる玉出温夫。いるいるこういうヤカラ。あれ?康さまにしては、ヤな人ぶりがえらくリアルに書かれてるじゃない?…と思ったけど、やっぱり…最後にまさか「首がちぎれる」とは思わなかった。
さすが、康さま。
参りました。
でも康さま、文法、無茶苦茶です。若い頃の私が教師なら、康さまは落第です。
だって、
矢細は、ひとりで戻ってきた温夫が、あの人はひどい。
…これ、主語と述語が合ってない…
妻籠は顔を見るなり「肩痛くて休んでたんだって」と声をかけてきて、瞬間的に位多子は落ちた。
「落ちた」???
…だもん。
そうそう、康さまの作品は、文法より先にリズムありき。日本語をリズムで押しまくる表現の仕方、私は康さまと出逢って初めて知った。強烈な出逢いだった。
康さまに逢う時は、心に充分余裕がある時か、疲れてヘトヘトの時か、どちらかです。
余裕のある時は、一文一文、咀嚼して、想像しながら読む。
ヘトヘトの時は、「音楽」として読み流す。
…康さまは時々逢う愛人、って感じかな。
康さまとらもさまに逢って、私は無難な道を踏み外してしまった。幸か不幸か。でもお二人に逢わなかったら、私は平凡で、全く面白味のない読み人鞠子だったと思う。
今の私は、康さまに二重丸つけられるくらい、オトナになれたと思います。
しかし野間文芸新人賞、ドゥマゴ文学賞、芥川賞、萩原朔太郎賞、川端康成賞、谷崎潤一郎賞と賞総ナメ。選考委員の皆様、結構柔らかい頭をお持ちなんですね。でも中には、「町田だけには死んでも賞はやらん」と言った選考委員の先生がいらっしゃったとか。その気持ちもわかります。
『パンク侍、斬られて候』の表紙写真、カッコよくて康さまの魅力全開でした。
でも最近の康さま、かなりしんどくないですか?
康さまやらもさまは、私たちのようなフツーの人には決して見えないもの、聞こえないもの、におわないものが、見えてしまい、聞こえてしまい、におってしまう、んですね。
現世で生きるのは、どんなにか苦しいのではないですか?
…そんな心配をしつつ、でもまたいつか、お逢いしたいと存じます。
今度は『告白』で逢いたい。
近いうちに、ね。
久しぶりに康さまと逢いました。
今日のデートは『浄土』。
康さまに逢うのは1年ぶり…ですよね、確か。
『浄土』も相変わらずの康さまワールドでしたが、私が今までデートした中では、一番風刺的要素が強くて、かつそのメッセージがストレートに表現されているように思いました。『浄土』にある7つの作品、甲乙つけがたいのですが、あえて3つ選ぶとすれば『本音街』と『一言主の神』『自分の群像』。いや『ギャオスの話』も捨てられないかな。
『自分の群像』に出てくる玉出温夫。いるいるこういうヤカラ。あれ?康さまにしては、ヤな人ぶりがえらくリアルに書かれてるじゃない?…と思ったけど、やっぱり…最後にまさか「首がちぎれる」とは思わなかった。
さすが、康さま。
参りました。
でも康さま、文法、無茶苦茶です。若い頃の私が教師なら、康さまは落第です。
だって、
矢細は、ひとりで戻ってきた温夫が、あの人はひどい。
…これ、主語と述語が合ってない…
妻籠は顔を見るなり「肩痛くて休んでたんだって」と声をかけてきて、瞬間的に位多子は落ちた。
「落ちた」???
…だもん。
そうそう、康さまの作品は、文法より先にリズムありき。日本語をリズムで押しまくる表現の仕方、私は康さまと出逢って初めて知った。強烈な出逢いだった。
康さまに逢う時は、心に充分余裕がある時か、疲れてヘトヘトの時か、どちらかです。
余裕のある時は、一文一文、咀嚼して、想像しながら読む。
ヘトヘトの時は、「音楽」として読み流す。
…康さまは時々逢う愛人、って感じかな。
康さまとらもさまに逢って、私は無難な道を踏み外してしまった。幸か不幸か。でもお二人に逢わなかったら、私は平凡で、全く面白味のない読み人鞠子だったと思う。
今の私は、康さまに二重丸つけられるくらい、オトナになれたと思います。
しかし野間文芸新人賞、ドゥマゴ文学賞、芥川賞、萩原朔太郎賞、川端康成賞、谷崎潤一郎賞と賞総ナメ。選考委員の皆様、結構柔らかい頭をお持ちなんですね。でも中には、「町田だけには死んでも賞はやらん」と言った選考委員の先生がいらっしゃったとか。その気持ちもわかります。
『パンク侍、斬られて候』の表紙写真、カッコよくて康さまの魅力全開でした。
でも最近の康さま、かなりしんどくないですか?
康さまやらもさまは、私たちのようなフツーの人には決して見えないもの、聞こえないもの、におわないものが、見えてしまい、聞こえてしまい、におってしまう、んですね。
現世で生きるのは、どんなにか苦しいのではないですか?
…そんな心配をしつつ、でもまたいつか、お逢いしたいと存じます。
今度は『告白』で逢いたい。
近いうちに、ね。