今日は、社員の「解雇」についての僕の考えをお伝え
したいと思います。
日本の現行法制下では、解雇に関する制限がとても厳し
く、「解雇」は不可能といっても過言ではないと思って
います。経営側に対して労働者は弱者であり、裁判所は
基本的に弱者救済の立場をとっているからです。
例えば、教育を再三実施、課長が繰り返し指導、他の
メンバーも根気よくフォローしても、仕事のスキルが
一向に上がらず、チームの足を引っ張ってしまい、
もはやメンバー全員からも見放されてしまったAさんが
いたとします。
課長は、人事責任者の僕のところに困り果てて相談に
来ます。僕は、早速、配置転換の可能性を探り、
ある受け入れ先候補の本部長と相談しますが、Aさんの
ことは既に社内の噂になっており、にべもなく断れます。
いたし方なく、社長、役員と相談しますが、解雇はで
きないのかと言われます。
すかざず、解雇は無理にしても、本人納得のうえで
転職を考えてもらえるように、Aさんとよく話しをして
みますと応えます。
これは、解雇と違って、依願退職を勧める「退職勧奨」
と言われているものです。
本人と面談を設定して、真摯に話しをします。現状の
スキルに対する本人の思い、本来興味のある分野、
ありたいと思っている姿や労働観などじっくり時間を
かけて聴きます。
ここで絶対してはいけないことが一つだけあります。
それは、相手の「人間性」を否定することです。
これは絶対にしてはなりません。
きちんと相手を尊重して、会話を進めることが大事
です。経験上、本人はがんばっているのですが、
殆どのケースで仕事の内容が合わなかったり、組織に
溶け込めなかったり、将来の目指すところが違って
いたり、ということが本質的な原因なのです。
「このまま働き続けても、会社もAさんにとっても
いいことはないと思うよ。」と言います。実は本人も
「そう思っていたが、踏ん切りがつかなかった。」
という人がほぼ100%です。
相手の状況によりますが、通常の退職金に何か月分
かの給与を上積みするか、退職までの何か月間は
出社に及ばず転職活動に邁進して欲しい旨提案を
します。
何より、嬉しいのは、こうして退職していかれた方
から、数か月後に丁重なお手紙やメールをいただいた
ときです。
あのとき、話しを聴いてもらってよかった。
あのとき、話しを聴いてもらってよかった。
今はとても充実した会社生活を送っていますと。