『潮音』6月号の「探照燈」作品より
元夫過去の事とは思いつつ回復祈り昔を偲ぶ
*大石和子
我れ起きる体内時計は十分前 六時セットで今朝も勝ちたり
*宮川静枝
ひっそりと石段に咲くイヌフグリ大地は春を彩りはじむ
*稲垣邦枝
※「石段」に「いしきだ」のルビ
アフガンに日本の医師が為し遂げた三十五年の生きる戦い
*忠地千鶴
冬晴れに吹く北風が頬をさす能登に大雪ふらせし風か
増澤康男
五稜郭公園の桜守よりプレゼント散策する人小枝を手にする
*讃岐生子
※「五稜郭公園」に「こうえん」のルビ
「魔の十一分」はじめて知った格言に合点するなり衝突事故で
*大石武夫
今日中に内定通知届くはずポストの奥まで何度も覗く
*黒澤初江
「離婚する」友のラインが届きたり仰ぐ半月かじかみている
*阿久津利江
半世紀共に暮らしし姑とふたりはうじ茶啜り日向ぼこせり
岸本きよの
※「作品」は、普通社友の方の作品欄です。「探照燈」は前々月の各欄(今回は4月号)から、その月の担当者が注目した歌をあげ、コメントを加えた欄。ここでは歌のみ紹介します。
*は現代仮名遣い。
(ブログ担当)