『潮音』3月号の「探照燈」琅玕集(前半)より
大藤は黙々として花咲かせ小さきむらさきの香りをふやす
木村雅子
透明になりゆくやうな一日なり薄荷精など香らせながら
足立敏彦
葉桜の陰よりふとも舞ひ落つるふたひらみひら白光の残
黒部道子
雄花雌花狂ふまで混ざり散り敷ける川面一面 さくらの情死
三津野幸代
何がかういけないのかと思ふなり紅の鯉は沈みをりたり
高木佳子
曇天の続く夕べを鳥のきて突つく菫のその花びらを
工藤徑子
アイシャドー金銀ブルーグリーン照り遊べば鏡の中の孤高のライオン
小池雅子
君が残してゆきし言葉をさがしをり悲しみ拾ふ我の心は
松浦美智代
夢にさへもう訪ね来ず二十年の歳月かけて君は遠のく
白水敦子
地球儀は丸い、地球は丸いから。見上げれば橙の今宵満月
大西直美
貧血により深海にゐるやうなひとときなりき菜の花畑に
伝田幸子
花を観ぬままに季すぎ病窓を流るる雲は桜花のごとしも
堀井美鶴
※「季」に「とき」、「桜花」に「はな」のルビ
※「琅玕集」は幹部同人とそれに次ぐ方々の欄です。「探照燈」は前々月の各欄(今回は6月号)から、その月の担当者が注目した歌をあげ、コメントを加えた欄。ここでは歌のみ紹介します。
(ブログ担当)
