短歌結社『潮音』

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『潮音』10月号の「探照燈」琅玕集より

 

 

 

ぶなの樹を攀づる水音奏づるはドレミファソラシシ水起つこころ 

 

波汐國芳



はつなつの緑を縫ひて十一が呼んでゐるから真似ては返す 

 

中島雅子



ピンポーンと嫋やかなる老女丁寧に「お塩貸して下さい大さじ三杯」 

 

小池雅子



幾百の歌に溺れて失くしたる己の言葉の行方を探す 

 

白水敦子



釣り舟に揺れゐるしばし悲しみの錘に釣り糸曳く魚のあり 

 

五百川紘子



蓮の花揺らし熊ン蜂動かねば思ひださるる母の授乳期 

 

堀井美鶴



コロナとふ老人淘汰のものがたり東京ドームを祭りにしたり 

 

内藤三郎
 

 

 

積み上がる泥の袋の黒くして詰め込まれたる土かつても見き 

 

高木佳子



赤井谷上れば下る急坂も否にはあらず今朝の散策 

 

稲垣紘一



「みどり色好きかね?」医師の問ひ給ふ 私の病ひもそんな程度か 

 

永平 綠



左手のみ拇指ナイフの峰を押し人差し指で鉛筆を引く 

 

平山公一
※「拇指」に「おやゆび」のルビ



だから もう しかし なれどまだでもとも思ひ今日終はりたり 

 

鈴木隆夫



少年の日の我がゐて昼顔の咲きをり嘘の吐けない季節 

 

足立敏彦



私は枯れた菊ではありません脳梗塞の勲章を持つ 

 

疋田和男

 

 

 

※「琅玕集」は幹部同人とそれに次ぐ方々の欄です。「探照燈」は前々月の各欄(今回は8月号)から、その月の担当者が注目した歌をあげ、コメントを加えた欄。ここでは歌のみ紹介します。

 

 

 

 

 

(ブログ担当)