『潮音』2024年3月号の歌より | 短歌結社『潮音』

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『潮音』3月号の「探照燈」琅玕集(後半)より

 

 

 

ニュージーランドの川に生涯全うすフィッシャーマンの夢を叶へて 

 

大坪洋子




吾の作る在りの遊びのドーム菊百本あまり鮮やかに咲く 

 

原 千春
※「在」に「あ」、「遊」に「すさ」のルビ




吾が上に今降る雨を砲撃と思へば寒しガザは東京 

 

那須愛子



面長に欠けゐる今宵十三夜悠久を浮かぶ未完のよろし 

 

島田まき子



ヒト科ヒトつと立ちどまり見つめ合ふこの吾亦紅と仲間のやうに 

 

北島邦夫



コンビニのコピー機に歌稿を拡大すおほきくなあれわたしのうたよ 

 

中村泰子



窓ぬらす薄墨色の夕時雨「ごめんなさい」がなかなか言へず 

 

相澤美惠子



かそかなる無聊の影を放ちつつ家蜘蛛かべに点点と跳ぶ 

 

黒部道子



ああ良かつた割れてなかつたいや見えない小さい傷がまた増えている 

 

茅 亮子



「生きるとはと又自問して」上二句に続く腰の句空白のまま 

 

鈴木隆夫



プーチンの一存で起きたる侵略か一存で決まりし終戦ありき 

 

*村上照男

 

 

 

※「琅玕集」は幹部同人とそれに次ぐ方々の欄です。「探照燈」は前々月の各欄(今回は1月号)から、その月の担当者が注目した歌をあげ、コメントを加えた欄。ここでは歌のみ紹介します。

*は現代仮名遣い。

 

 

 

(ブログ担当)