『潮音』2024年2月号の歌より | 短歌結社『潮音』

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『潮音』2月号の「探照燈」琅玕集(前半)より

 

 

 

一瞬に消えてはならぬいのちたち空爆の下ガザの子どもら 

 

木村雅子
 

 


花鋏十本余あり義父と夫庭を愛しみ土に還りき 

 

山口浩子



ウクライナにガザ紛争も加はりて保安官アメリカの動き見守る 

 

工藤せい子

 

 


放出の日が最悪の記念日に取つて代はらむことあらざりや 

 

米山恵美子



満月が雲より出づるときを待つ希望の生れて来る気配して 

 

森谷勝子



パパの手に曳かるる男の子も浴衣姿平和の絵なり戦で消すまじ

 

岩谷順子

 

 


高齢の覚悟を秘めて靴紐をきりりと結ひぬ 検診にゆく 

 

善家弘子



国民皆死に絶ゆる迄増税しカアカア黒字の烏鳴く国 

 

大西直美

 

 


核を持つ軍事大国の咆哮をまたも聞きたり冬の入り口 

 

増岡久美子

 

 


をかしいよ傾いてゆく日本の軍事防衛費・戦争の言葉次々増えて 

 

久能美和子



鳥よりも風よりも長き旅をして夕日は燃えてわが眼に沈む 

 

斉藤純子



コンサートの余韻に浸り帰るべき家のあること 小さき幸せ 

 

菊川佐智子

 

 


雲のなき空うららかにこの涯の地に戦火あり人の死ぬなり 

 

三井迪子

 

 


若き日の白馬岳の頂上に素敵なる老いをと聞きたる日 

 

岡田通子

 

 

 

※「琅玕集」は幹部同人とそれに次ぐ方々の欄です。「探照燈」は前々月の各欄(今回は昨年12月号)から、その月の担当者が注目した歌をあげ、コメントを加えた欄。ここでは歌のみ紹介します。

 

 

 

 

 

(ブログ担当)