『潮音』1月号の「探照燈」作品より
紅白の一糸乱れぬ子供達違う動きで我が子見つける
*木村友美
今日もまた逆さ別れの息の短歌を紙にぶつけて一歩進めり
川田けい子
ゆきあいの空なり炎天の入道雲弱まり黄昏涼風そよぐ
*堀内佐代子
父母の思い出語る妹も吾も大海原へ余生漕ぎ出す
*岩崎かほる
聞かされた大正琴に恋をして老いて前向き弟子入り志願
*辰巳邦子
張りつめて生きて来たとは思わねどなべて自分流今は幸せ
*齋藤むつ子
チャップリンの「モダンタイムス」今までは喜劇と思い今は涙す
*森山 正
夏の日の暮れゆく空にスーパームーン患ふ地球やさしく照らす
二川紗都子
スーパーも郵便局も美容室も近くにありて老いを助ける
*加藤博子
続きゆく命の先は見えねども精一杯に生きてやろうか
*永江康代
ティーカップの底に溶け残る角砂糖甘きをすくひて人生楽しむ
首藤小夜華
朝まだき日がのぼりくる山里に無言貫き白き蓮咲く
*川上京子
※「作品」は、普通社友の方の作品欄です。「探照燈」は前々月の各欄(今回は11月号)から、その月の担当者が注目した歌をあげ、コメントを加えた欄。ここでは歌のみ紹介します。
*は現代仮名遣い。
(ブログ担当)