『潮音』2023年11月号の歌より | 短歌結社『潮音』

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『潮音』11月号の「探照燈」潮音集Ⅱより

 

 

 

入院し環境変はり短歌あまた二十首詠に目覚めたる我 

 

井上昌子



日常を逃れ来し山ゆくりなく吾の眼前に姫小百合の花 

 

田中美紀子



立ち止まり四つ葉のクローバー目で探す今よりちょこっと幸せほしい 

 

*春田俊子

 

 


感染症五類になれどわが街にコロナ患者はじんわりと増ゆ 

 

矢部芙沙子



何年も杉菜と戦ひ克服もできずに吾は高齢となる 

 

新保薫代



梅雨最中そそと咲き出す桔梗花盆の祭壇飾るも間近

 

*市村洋子



幾たびの峠を越えて喜寿となり露にあざやかな紫陽花いける 

 

*伊藤幸子

 

 


夫を待つぼつぼつ帰るやデイサービスより花に水くれやりながら待つ 

 

*松本紀子



遊ぶように仕事している上司見て手本としたい思考や生き方 

 

*齋藤亮子

 

 


おやすみと亡夫の写真を胸に抱きオカリナ習ひし君をなつかしむ 

 

兼巻昭子



施設での七夕祭りの短冊に「家に帰りたい」願いのありて 

 

*国伝房子



書籍類手放すときの切なさよ目に見えぬ大事逃げゆくやうにて 

 

山本浩子

雨と陽の魔法にかかり紫陽花は輝きをまし宝石になる 

 

*杉浦真佐子

 

 

 

※「潮音集Ⅱ」 は、入社10年前後の特別社友の方の作品です。「探照燈」は前々月の各欄(今回は9月号から)、その月の担当者が注目した歌をあげ、コメントを加えた欄。ここでは歌のみ紹介します。

*は現代仮名遣い。

 

 

 

 

 

 

 

(編集委員・ブログ担当)