哀れなるものたち | ちょんぺいのブログ(映画へん)

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その年に日本公開された映画を中心に感想を書いてます。備忘録としてサクッと書いちゃってますが、良ければ気軽に覗いて下さい。誤字脱字は申し訳



哀れなるものたち


ここ数年で一番衝撃を受けた作品でした。

自分の知識量では到底及ばない情報の多さ、言語化の難しさ。

考察やら感想を漁ってはうまくまとめてる人を見つけてキラキラした目でなるほどぉ!と感銘を受けてます、ベラの如く…。


天才外科医の手によって蘇った若き女性ベラの人生を描く。あらすじはシンプル!

身を投げた女性を外科医が見付けて、状態が良い!と喜び、赤子の脳を入れて蘇生させる物語とは思えないぜ(震)


女性版フランケンシュタインのような物語ですね。

もちろん閉じ込めて実験を見守るのだが、徐々に愛着が沸いたり、あえて「可愛い子には旅をさせよ」の精神で野放しにしたりと話が進んでいきます。


赤子の脳のまま悪い男に捕まり性の喜びを覚えたり、気に入らない事は鉄拳制裁したり、素敵な音楽が聴こえれば思うがまま踊ったり…。

見た目は大人、頭脳は子供という演技がすごすぎてそれだけで実在する人の様に思える。

R-18指定でエロ・グロ要素もありますが、エマストーンの監修も相まって、美しく見える。

アダルトな描写がエロく見えない、スポーティーもしくは芸術的。それでも描く性描写なのだから込められた想いが重たかったり尊かったり…自分でも良くわからなくなります。


ハトの会話から、このシーンでハト出すんだぁ…とかシニカルなギャグもてんこ盛り。

設定が珍妙だから少しのズレが悪趣味な笑いになるのね…


ストーリーだけでなく、音楽がとても歪。

不協和音なのに耳に残る異質な感じ…作品を通して見ると心地よい。


アートブックが欲しいぐらいどのシーンも美しい。数秒の為に手間暇かけた作品が所狭しと並んでる…衣装、家具、ペット、食器、実験器具、建物、乗り物全て歪なデザインでこれらに見惚れてると字幕を見逃してしまう事も多々あった。


世界観の割に難しい話ではない。人生を知る為に冒険の旅をするだけの話。

映像、音楽、登場人物の表情だけで常に満腹状態。なのに背中で語ってくるのでグッと来てしまう。基本は異次元すぎて付いていけない会話だけなのだが。


非日常な人たちにとって日常が非日常に思えるという難しいシチュエーションを完璧に描けている。そもそもそんな映画これくらいしか思いつかないくらいだが。


雑に例えると、ミッドサマーのスピンオフ。

もしくは勘のいいガキは嫌いだよでお馴染みハガレンのタッカーによる日常物語。


ヨルゴスランティモス作品である女王陛下のお気に入りと、ロブスターは鑑賞し感想を書いた記憶がある。どれも予備知識や解説込みで見ないと理解出来なかった、でもなんか楽しかった。


本作は予備知識なくともポップでファンタジーなお話として楽しめる(ヨルゴスランティモス作品にしては)

なので本作はとても好き。


脚本は映画クルエラと同じ人らしい。

前回評したダムマネーは監督が映画クルエラと同じだし。

クルエラはコロナ禍の年のベスト映画として入れたくらい好き。

と考えると運命的な喜びを勝手に感じてしまう。


そして久々に細かい感想は放棄してもいいかな!と思えるくらい最高。キリがなさすぎる、見て、見て!


なんか記憶に残ってるのは雇い主のおばあさんの寝室での衣装だなぁ…

インパクト強いの多すぎて全部霞むとかカオスなのよ。

もはや人生…この作品に人生を見た


語れば語るほど語彙力のなさが滲み出る。

映画を見過ぎてる人、是非劇場で見てほしい…

ずっと口開けて見てました。


名残惜しいがここまでとする。