ピーターラビット2 バーナバスの誘惑
良作の続編は極力見ようというテンションで鑑賞しましたピーターラビット2
全米大ヒット!日本ではプチヒット。というクワイエットプレイス同様の温度差。
公開日に合わせて金曜ロードショーで1の本編と2の冒頭映像を放送。
日本にしては愛のある対応に感動しつつ、初登場6位の話題作を押しのけて好調な滑り出し。
前回はピーターラビットのお父さんをパイにしたというマクレガーじいさんとピーターの壮絶な殺し合いから始まり甥のトーマスによる延長戦がアウトレイジ感あってたまらなかったですね。
トーマスとは和解しましたが、続編では溜まった物が爆発したり、勘違いやすれ違いが…的な予告編。
しかしそこはフェイクで安易な展開ですれ違わせない作りは好感触。続編の極意をわかってる
なんならビアの絵本作家としての成功が「ヒットを受けて続編の使い捨てで搾取される危機感」をメタ的に表現しているのが面白い。
舞台も農園から市内へ移動する事で見映えを活かした展開が多々あるし、記号的な悪そうな人達を量産する事でマクレガーVSピーターばりの対決を溜め込んでいるのである、記号的な展開を爽快に見せる有効的な手法で見せている…お見事。
ピーターにも名が知られてから搾取される危機が描かれていて、環境や状況が変わる事で見失う事と気付かされる事を「続編映画」というメタ表現を多用しながら紐解いてるからすごい。
パッと見単純明快に見えがちだけど実は入り組んだ事をしている点は初見では追い付かない程、作り込まれてる印象を受けた。
着地として衝突せず変わらず不器用なトーマスがキーマンとなる点では三枚目のカッコ良さを味わえる。
そんでもって隙さえあれば皮肉の効いたギャグやショートショートでホームアローン的なガジェット要素で埋め尽くしてるからぬかりがない。
予告編で使われてる映像はほぼ冒頭部(妄想パート)なので本編では何が起きるかわからない展開が山盛り。見所を伏せておく余力があるのも素晴らしい
前作の味や個性的なボケは据え置きしつつ、大きな展開には向かわずクライマックスもシレっと解決するテンポの良さは、「ヒットしたのだから続編は…」というビジネスマンからの抵抗を体現出来たのでこの塩梅最高です。
誰も自分をわかってくれないという疎外感に対して、優しい顔した悪い人達が利用して来た時に成長したピーターがテンポ良く立ち回る様も爽快。
土地を転がり回るトーマスのくだりはストーリー上全く必要ないのだけどCCDカメラ視点でお届けしている力の入り様で、その馬鹿馬鹿しさも忘れてない点でも愛でたい作品である。
コメディ映画としてピーターの放つ最後の一言はホントそれな…。と思うくらい気分が良く、この状況下で娯楽をありがとうと思えた。
パディントン1・2の様にブレずにブラッシュアップされながらもシンプルさを保っている良作で御座いましたぜ。